糖尿病ってどんな病気?①
- 医療コラムカテゴリー
「糖尿病」という病気。
名前を聞いたことがない、という方はほとんどいないのではないでしょうか。
「血糖値が高くなる病気」
「甘いものを食べすぎるとなる病気」
「生活習慣病のひとつ」
そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
でも実は、糖尿病にはいくつかの種類があり、必ずしも生活習慣だけが原因で発症するわけではありません。
そして糖尿病の大きな特徴のひとつが、初期には自覚症状がほとんどないことも多いということです。
今回から3回に分けて、身近だけれど意外と知らない「糖尿病」についてご紹介します。
そもそも「血糖値」って何?
私たちが食事をすると、ご飯やパン、麺類などに含まれる炭水化物は、消化・吸収されて「ブドウ糖」になります。ブドウ糖は血液によって全身へ運ばれ、身体を動かすための大切なエネルギー源になります。
この血液中に含まれているブドウ糖の濃度が「血糖値」です。
食事をすると血糖値が上がります。すると膵臓(すいぞう)から「インスリン」というホルモンが出て、血液中のブドウ糖を身体の細胞に取り込むのを助けます。取り込まれたブドウ糖は、身体を動かすためのエネルギーとして使われ、血糖値も下がっていきます。
では、「糖尿病」とは?
糖尿病では、インスリンが十分に作られなかったり、うまく働かなかったりします。そのため、血液中のブドウ糖を細胞にうまく取り込めず、エネルギー源として十分に利用しにくくなります。一方で、血液中にはブドウ糖が多く残るため、血糖値が高い状態が続くようになります。
これが糖尿病です。
「血糖値がちょっと高いだけなら、それほど困らないのでは?」
と思われるかもしれません。ところが、この状態が長く続くことによって、少しずつ血管や神経などに影響が及んでいきます。
これこそが糖尿病の怖いところなのですが……
こちらについては、第2回「糖尿病の何が怖い?」で詳しくご紹介します。
糖尿病には種類があります
「糖尿病=食べすぎや運動不足でなる病気」と思われることがありますが、実際にはそう単純ではありません。
糖尿病は、原因によっていくつかの種類に分けられます。
1型糖尿病
膵臓でインスリンを作る細胞が壊され、インスリンを十分に作れなくなることで発症します。自己免疫などが関係すると考えられており、生活習慣が原因で発症する病気ではありません。子どもや若い方にも発症しますが、成人になってから発症することもあります。
2型糖尿病
日本で糖尿病と診断される方の多くを占めるタイプです。
インスリンの分泌が少なくなったり、インスリンが効きにくくなったりすることで血糖値が高くなります。遺伝的な体質や加齢などに加え、食生活、運動不足、肥満など、さまざまな要因が関係して発症します。
そのほかの特定の原因による糖尿病
1型・2型以外にも、遺伝子の異常、膵臓などの病気、薬剤など、特定の原因によって起こる糖尿病があります。
妊娠糖尿病
妊娠中は、ホルモンなどの影響でインスリンが効きにくくなり、血糖値が上がりやすくなることがあります。妊娠をきっかけに血糖値が高くなった状態を「妊娠糖尿病」といいます。多くは妊婦健診などの検査で見つかります。
糖尿病になると、どんな症状が出る?
血糖値がかなり高くなると、
・のどが渇く
・水分をたくさん飲む
・尿の回数や量が増える
・疲れやすい
・体重が減る
などの症状が現れることがあります。
しかし、ここで知っていただきたいのが、「糖尿病=必ず症状が出る」わけではない、ということです。
特に2型糖尿病では、初期にはほとんど自覚症状がなく、健康診断等で行った血液検査をきっかけに、初めて血糖値の異常に気づくこともあります。
症状がないのに、どうやって分かるの?
そこで大切になるのが、健康診断や血液検査です。
糖尿病を調べる際によく目にするのが、「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」です。
血糖値
その名のとおり、血液中にどのくらいブドウ糖が含まれているかを示す数値です。血糖値は食事の影響を受けるため、いつ測定したかによって数値が変わります。
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)
HbA1cは、血液中のヘモグロビンにブドウ糖がどのくらい結びついているかを見る検査です。血糖値が採血した時点の状態を表すのに対して、HbA1cは過去1~2か月程度の平均的な血糖状態を反映する指標として使われます。
そのため、糖尿病の診断や経過を見る上で、とても重要な検査のひとつです。
健診で「血糖値が高め」と言われたら
糖尿病は、初期にはほとんど自覚症状がないことも少なくありません。
そのため、健康診断などで血糖値やHbA1cの異常を指摘された場合は、「症状がないから大丈夫」とそのままにせず、一度医療機関へ相談しましょう。
糖尿病は、早く「気づくこと」が大切です。
では、血糖値が高い状態が続くと、身体にはどのような影響があるのでしょうか。
次回は、
「糖尿病の何が怖い? ~本当に怖いのは、その先にあるもの~」
と題して、糖尿病の合併症についてご紹介します。
著:事務部/T 監修:副院長/福枝幹雄
●糖尿病 ●生活習慣病 ●健康診断 ●二次健診